
父親から教わったことはいくつかあるけれど、いちばんはやはり、お金の価値・使い方だろう。父は熊本県・天草で金融業を営んでおり、まだ小学生の僕に公定歩合とか預貯金の金利について教えるような人だった。僕は小学3年生でキャッシュカードを持たされ、僕名義の口座に振り込まれる月のお小遣い600円を自分で引き出していた。
中学生になったころだったか、一度、現金を運ばされたこともあった。バッグに入っていたのは、なんと3000万円! 所定の場所まで2時間半ほどバスに揺られていたのだが、周りにいる人すべてが泥棒に見えてしまうという、なんとも言えない経験をした。
そのような父からの教えが、僕にどう影響したか。ケチになった(笑)。よく言えば「もったいない主義」になった。何かを求めようとするとき、それが適正な価値なのかどうかを考えてしまう癖がついたのである。